よくあるご質問

Q. クラシックギターの選び方

ここでは高級ギターの選び方について説明いたします。ギターに限らず品物の価値を正しく判断するには、それ相当の知識と経験がなければ正しい選定は出来ません。ギターは音を発する工芸品といえるので、音に対する感覚、美術的な感覚、そして材料に関する知識も必要になります。
音質と各ポジションのバランスと音程が良く、音量が大きいこと。
使用材料の質が良くてシーズニングが充分なこと。
弾きやすいこと。ネックの形状と弦高が適当ならば弾きやすいギターです。
外観の美術的価値が高いこと。鳴りさえすれば外観はどうでも良いという考え方は誤りです。ギター以外の楽器でも昔から銘記と大切にされているものは工芸品としても、あきのこない風格を持っています。

Q. 良い音とは

ギターは音楽を表現する道具ですから、表現力の豊かな音質を持っていることが必要です。
音が明瞭で大きく、余韻の減衰状態が自然にのびること。
よく磨かれた爪で指先に力を入れず弦を充分にはじいた時、やわらかいつやのある豊かで透明な音色が出ること。
どの弦のどのポジションでも平均した音質と音量を持っていること。
タッチの位置や爪の角度、また力の入れ方で敏感に音色が変化し、更にハーモニックスが明瞭かつ透明にでること。以上の音質を持ったギターならば和音もきれいでメロディーもよく歌わせられるし、ダイナミックな表現も可能で、幅のある美しい音楽を表現できるわけです。

Q. 河野ギターと桜井ギターと君島ギターの違いは何ですか?

河野ギターと 桜井ギターと君島ギターでは力木の構造が異なっています。河野ギターは河野賢が追い求めた音作りとなっており、トーレス型の扇状のファンブレーシングと比べ、高音の音の音が伸び、低音は音の立ち上がりが緩やかで奥行きのある音作りとなっています。桜井の力木は河野の力木をベースにしつつ、大学との共同研究の結果、振動理論を取り入れて科学的に力木パターンを作り上げ、音のバランスと音量の両立を目指しました。君島ギターでは、トラディショナルなクラシックギターらしい音色を守りつつ、河野・桜井の振動理論、経験を取り入れた設計を行っています。各モデルの差は、材料の質やシーズニングの年数、内部設計の差によって差別化がされております。

Q. カスタムギターはオーダーメイドできますか?

はい、ギターのサイズ、素材の選択、ロゼッタのデザインなど、カスタムオーダーに対応しています。演奏性や音色を損なわず、特別なデザインの要望を取り入れることも可能です。(音響特性や強度が低下するようなものはお断りする場合があります。詳しくはお問い合わせください)620mm〜660mmのスケール長も指定可能です。また、アルトギター、バスギターも数多くの実績があります。製作期間は仕様などによって異なりますが、10ヶ月前後かかります。

Q. モデルによってかなり値段に差がありますがどこが違うのですか?

主な違いは材料の質にあります。 同じスプルース材、中南米ローズウッド材といっても、その品質は色々です。。例えばマエストロ・モデルは、最高級の材料を20年以上、またスペシャル・モデルは15年以上ねかせて(シーズニング)、その中から更に状態の良いものを選んで使用しております。最上級の材料を長年シーズニングして作った楽器は、初めから雑音も少なく、すばらしい音色を奏でます。
また河野マエストロ、君島SOLモデルはネックがボディ内部まで繋がっている一本棹方式を採用している為、通常の工法よりも手間がかかっております。

Q. 1976年製No.15ギターの価格は?

1963年頃から1982年頃まで、当社では日本での小売価格も示す番号をモデルに使用していました。15番は日本では15万円で販売されましたが、現在の価値は推定できません。

Q. 河野、桜井、君島の各ギターにはどのような樹種が使われているのですか?

主に表板にスプルース(SP)、米杉(CD)、裏板と横板に中南米産ローズウッド(CSAR)を使用しています。指板にはエボニー、ネックにはセドロを使い、2本のエボニーで補強していましたが、2012年以降は、ローズウッド系の材はインディアンローズウッドかマダガスカルローズウッドに絞り、ハカランダは一部の高級モデルにのみ使うようになっております。

Q. 中南米ローズウッドとは何ですか?

中南米ローズウッドとは中南米に自生するマメ科(Leguminosae科)Dalbergia属の植物でハカランダ、ココボロ、アマゾンローズウッド等のことです。弊社では2000年頃からこれらと同等の材料であるマダガスカルローズウッドを含め、中南米ローズウッドと表記しています。

Q. ハカランダは輸入禁止と聞きましたが本当ですか?

近年、ハカランダ (Brazilian Rosewood) はワシントン条約により、入手するのが大変に難しくなっております。ワシントン条約とは国際取引を規制して、絶滅のおそれのある野生動植物を保護することを目的とした条約で、日本は1980年に同条約を批准しています。条約適用前に伐採されたものに限り、輸出国と輸入国、両方の許可を得て初めて輸出入が可能、また、条約施行後のものに関しては商業取引が全面的に禁止となりました。インディアンローズウッド、ココボロ、アマゾンローズウッド、マダガスカルローズウッド等(マメ科ツルサイカチ属)は2017年1月にワシントン条約付属書IIに追加されました。

Q. ハカランダ・マダガスカルローズウッド・インディアンローズウッド・メープルの違いは何ですか?

個体差はありますが、材料の比重が異なります。
平均すれば、メープル<インディアンローズウッド<ハカランダ<マダガスカルローズウッドという順に比重が重くなっております。材の比重は材の硬さと密接な関係があり、基本的には軽い材料は柔らかく包み込むように広がる音が得やすくなり、硬くて重いボディは振動を表面板に集中させ、音を前に押し出すので音に指向性が生まれ、音を遠くに飛ばしやすくなります。

Q. ジャーマンスプルースとイングルマンスプルースとレッドシダーは何が違いますか?

個体差がかなりありますが、比重の平均値を比較すると、レッドシダー<イングルマンスプルース<ジャーマンスプルース の順に重くなります。基本的には表板は比重が軽いと大きな音量が得やすくなりますが、厚みや力木の設計によって表板の質量はコントロールすることができます。また、表面板は経年変化や振動を与え続ける事により、板がより振動しやすくなり高次倍音が少なくなり、音の抜けもよくなってゆく経年変化が起こりますが、レッドシダーよりスプルースの方が変化がより顕著です。

Q. 河野、桜井ギターにはなぜポジションマークがついてないのですか?

ご要望頂ければ入れる事はできますが、下記の理由で基本的にはおすすめしておりません。
ご存知のように、バイオリンや三味線にはポジションマークは付いておりません。ギターの場合もポジションマークが付いていると、音階を押さえる感覚が鈍ってしまうのではないでしょうか。プロのギターリストの場合はつけていない人の方が多いようです。
また、カポタストを使用する際などポジションマークがかえって邪魔になってしまう事もあります。 もしつけたいのであれば、後から小さな丸いシールなどを利用すると便利だと思います。

Q. 裏板にフシのようなものがあるのですが。

中南米ローズウッド材には小節が多いものもありますが、材質的には全く問題ありません。

Q. 音がビリつくのですが。

ギターは複雑な構造体全体が振動するものなので、ビリ付きの原因を特定するのは非常に困難です。まずご自身でチェックして頂きたいのは、弦です。長く切らずにいる弦の端が表面板やヘッドに触っているとそれだけでビリ付きの原因となります。次に、糸巻きの金具やツマミに弛みがないか、もしあればドライバーなどで締めると異音が解消する事がよくあります。
それでも直らない場合は次のような可能性が考えられます。開放弦だけビリつきが出る場合はナットの溝が変形してきている可能性が高い。また、特定のフレットを押さえた時だけ出る異音は、ネックの反り、弦高が低すぎる、フレットの浮き、力木の剥がれ、ウルフトーンなど、たくさんの原因があります。原因の特定が困難になるので、ご相談下さい。

Q. 保管方法について。

楽器の管理ですがそれぞれのすんでいる環境によって部屋の温湿度は大きく異なる為、基本的には温湿度計と一緒に管理して頂ければと思います。一年を通し、湿度40~50%くらいの環境が維持できれば、故障をすることはほとんどなくなります。
夏の間は湿気対策が必要で、下記の二通りの方法で保管頂ければと思います。
(1) ケースに入れ、乾燥剤を使い除湿して下さい。場合によっては複数個入れないと除湿仕切れない場合があるので、ケース内に湿度計を入れて確認するようにして下さい。乾燥剤は1~2ヶ月で効力がなくなってきてしまうので、電子レンジなどで水気を飛ばすなどの方法で除湿性能が回復します。
(2) ケースから取り出し、除湿機やエアコンの冷房の効いた部屋で保管をして下さい。冷房を効かせると冷たく乾いた風がでるので、それによって除湿ができます。高所の方が湿度は低いので、お住まいの空間の中でできるだけ高い場所にギターを置くようにしてください。
冬の間は、乾燥対策が必要になります。暖房の効いた暖かい部屋に置くのを避ける事と、ケースから乾燥剤は抜き、ケース内にしまう事。ご自宅の一番湿気ている部屋に置く事 などして頂けると安心かと思います。
温度に関しては50度を超えるような状況になると、接着剤の膠が溶けて壊れてしまいますので、夏の車内や、ストーブの当たる場所に置く事などはお控え下さい。湿度さえ気を付ければ、寒さには強いです。また、長時間直射日光が当たるような場所での保管もお控え下さい。

Q. お手入れについて。

ギターの汚れを拭き取りたい時はタオルを中性洗剤を少々入れたぬるま湯に浸し固く絞ってから拭いて下さい。手入れをするということは、僅かながらも塗膜を薄くすることになります。柔らかい布を使い、ソフトに拭いて下さい。カシューはとても柔らかい塗料ですので、やりすぎないようにご注意下さい。半年に一度くらいで十分でしょう。

Q. 糸巻きのお手入れについて。

糸巻きがキーキー鳴ったり、硬くなったら糸巻きのギアに微量のシリコンオイル(KURE5-56)またはグリスを綿棒などに付け、塗布すると良いでしょう。ギアに直接吹き付けたり、多量に使用すると故障の原因となりますのでご注意下さい。

Q. どのような糸巻きが使われているのですか?

日本製のGOTOH糸巻き(510シリーズ・モデル35G-1600)を標準装備しています。また、RODGERSALLESSISCHELLERの糸巻きを選択することも可能です。

Q. 演奏後は弦をゆるめた方が良いですか?

毎日演奏する方でも、使用しないときにはできるだけ弦をゆるめて(ツマミ3回転くらい)保管してください。

Q. クラシックギターの弦について。

以前は弦の不良率は非常に高かったのですが、近年は研究が進み、不良弦はかなり少なくなりました。大手弦メーカーのものであれば比較的安心して使う事ができます。色々試して頂き、ご自身のお好みを探して頂くのがよいでしょう。
弊社を出荷するときに全てのギターに張っている標準弦は、サバレス・クリエーションカンティーガ プレミアム セット ノーマルテンションです。

Q. クラシックギターの弦の交換時期はいつでしょうか。

ギターを弾く頻度にもよりますが、毎日1時間弾いている方は一ヶ月もすれば伸びやかな音が損なわれて、バテた音になってしまいます。ギターの性能や、音の成長の事を考えれば、魅力的な音が損なわれた時が弦の替え時です。最低でも二ヶ月に一度は弦交換をお勧めします。

Q. クラシックギターの弦の取り換え方を教えてください。

友人のギターの弦を自分で張り替える桜井正毅。

Masaki Sakurai
桜井正毅